新事業開発プログラム (3-step Innovation)

新事業開発(イノベーション戦略)こそが、企業を継続・成長させる

企業は、事業ポートフォリオ上の「問題児」事業を継続的に産みだし、「スター」事業に成長させるという、事業の新陳代謝をしながら、継続・成長していきます。

 

事業アイデアを掘り出し、問題児事業を産みだしでいくことこそ、新事業開発(イノベーション戦略)のテーマです。

 

しかし、この右図でオレンジ色で示す「胎児と問題児である、新事業」は、まだ収益事業としては確立していません。

それを収益事業として確立するための試行錯誤が、新事業なのです。つまり、

 

 新事業とは、収益事業をつくるための「試行錯誤のステップ」

 

なのです。この試行錯誤を、いかに効率よく積み重ねていくが、新事業創造の成功の鍵を握るのです。

 

イノベーション.vs.オペレーション

既存事業とは、今ある仕組みや仕事を、より効率的にまわしてく Operation の世界です。

それに対して、新事業の Innovation とは、今ある仕組みを否定し、新たな仕組みをつくる世界です。

 

この2つの原理は、根本的に対立します。

既存の会社で新事業を展開する場合は、この対立関係を踏まえた上で、事業計画を検討し、事業化推進体制を設計する必要があります。

多くの方は、新事業を「新技術や新製品の開発」と捉え、また新事業の創造を既存業務の延長線上に置いて考えがちです。

しかし、新事業と既存事業は、全く性格が異なるものです。既存業務が100を110に増やし、コストを10%削減するといった努力をする仕事なのに対して、新事業とは0から1を新たに作り出し、新たな市場を開拓しコスト構造を抜本的に変えるといった仕事です。

 

イノベーションは、既存事業の延長線上にはありません。

むしろイノベーションは、新規の事業や現在の秩序を、否定するものであり、破壊する可能性さえ秘めています。

 

とくに昨今は、情報通信技術の急激な進歩により、今まで直接関係のなかった広範な事業や業界が、大きな影響を受けつつあります。

イノベーションは、いまある事業との軋轢があっても、それを起こしていかなければ、自分たちが破壊されてしまう。そんな危機感を持って取り組まなければいけません。

 

新事業開発の失敗パターン

現実には、ほとんどの会社が新事業開発に失敗します。

それは、既存事業を進めるようにして、新事業を進め、以下の落とし穴にはまるのです。

弊社のプログラムでは、これら失敗を避けるような工夫を随所に組み込んでいます。

 

 

1.技術優位性への依存・過信

「優れた技術」で「すごい製品」を作ろうとするが、誰にどう売るかを、事前に考えたり、確認していない。その結果、お客がいない「新製品」を開発してしまう。

 

2.新しいアイデアへの固執

新規事業とは、新しい奇抜なアイデアが必要だと思いこみ、「他社がやっていないこと」をひたすら追い求める。(実際には、独自なアイデアで差別化するのは、無理)

また、流行語的なものを追い求め(今ならAI/IoT、一昔前ならBigData)、未熟な技術で無理やり事業化を考える。

 

3.顧客・市場より、会社都合の優先

新規事業とは、「顧客の課題」を解決するもの(Customer Problem Fit)。

それがいつのまにか、「会社の課題」を解決する、都合のよい内容に置き換わっている (Company Problem Fit)。そして、顧客ニーズがないのに、「これで100億円の事業を目指す!」とか、会社都合でものを語り始める。

 

新製品・サービスも、市場のニーズに合わせて設計しなければならない(Product Market Fit)。

それがいつのまにか、自社の作れる・できるものに、置き換わっている (Product Myself Fit)。

その結果、自社技術で新製品を作ってしまい、あとから売り先を探す、といったことが起きる。

  

4.ビジネスモデルや事業計画の完成度の追求

ビジネスモデル・キャンバス(BMC)や事業計画書の完成度が、事業の成功に繋がると信じている。

そのため、まだない製品やサービスであるのに、精度の高い「市場データ」を要求し、自社都合のロジックを「脳内妄想」的に練り上げる一方で、なぜか、想定するユーザーの声を直接聞こうとしない。

そして事業計画を、金科玉条の変更不可能なものとして突き進み、玉砕する。

 

 

新事業開発の標準となる方法論 「リーン・スタートアップ」

従来の事業開発とは、固定的な市場調査にもとづき、最初に開発投資や販売投資をかける方法論であり、成功確率は非常に低いものでした。
それに対して、「リーン・スタートアップ」とは、仮説検証を繰り返しながら、小さくはじめた新事業を大きくしていく方法論です。このため、成功確率を格段に高めることができますし、仮に失敗しても投資金額は最小レベルにとどまります。

「リーン・スタートアップ」を日本企業に適用する

イノベーションや新事業を成功させていくための標準的な方法論といえるのが、2010年頃にシリコンバレーで誕生した「リーン・スタートアップ」です。

 

この手法はとても有効ですが、シリコンバレーのスタートアップを対象としたものだけに、必ずしも日本企業ではそのまま使えるものではありませんでした。

 

「リーン・スタートアップ」を日本企業で実践し、新事業を成功させ、また社内起業家(イントレプレナー)を育てるために、いくつかのプロジェクトを通じて確立した方法論を、2015年に「新事業開発スタートブック」として上梓しました。

 

弊社のワークアウトは、この本で説明する内容に沿っています。

 

 

 

新事業検討は、マネージャから「リーダー」へと脱皮する、最短コース

プログラムの特長1」で説明したように、組織の将来を担うリーダーとして成長するには、上から指示されるオペレーションの「枠」を超えて、自らが事業を構想していく経験が必須です。

 

このように、新事業検討プログラムを通じて、リーダーを育成することが可能であり、ほとんどの会社ではそれが現実的かつ最短のリーダー育成方法です。